経済理論学会 第64回大会

2016年10月15日(土)16日(日)福島大学

21世紀の世界とマルクス ―「資本論」150年を迎えるにあたって ―

第64回大会準備委員会委員長 後藤康夫

21世紀にはいり,本学会は,一般に「地球大の地殻変動・構造転換」,あるいは「グローバル資本主義の成立」と総称される世界秩序の編成替えについて,資本蓄積と恐慌・危機の新たな態様,そして生産集積地の変動の切り口から,2008年「サブプライム・ショックとグローバル資本主義」,2009年「2008年世界恐慌と資本主義のゆくえ」,2011年「グローバリゼーション下の経済金融危機と国家」,2012年「大震災・原発問題と政治経済学の課題」,2013年「グローバル経済の地殻変動をどうとらえるか」というテーマで,積極的に取り組み,理論的な解明を行ってきました。

もちろん,こうした「現状分析」だけではなく,ここ2年あまりは,大学という知的生産の場,公共空間が,いまや社会的対抗関係の最前線に押し上げられ,わたしたちの学問的存立基盤が掘り崩されかねない事態に対しても,ポリティカル・エコノミーという学問的旗幟を高く掲げ,2014年「経済理論の現在:対抗軸としてのポリティカル・エコノミー」,2015年「資本主義の今後と政治経済学の課題」というテーマを設定し,理論の内側から果敢に立ち向かってきました。

こうして,ほぼ10年間にわたり,本学会は,激動する時代と併走し,時代の課題に鋭く切り込んできたと言って良いでしょう。その成果の総括が求められる時期に立ち至ったと判断されますが,これから先やってくる年を見てみますと,その格好の舞台が整ってくるように思われます。来る2017年には『資本論』150年,続く2018年にはマルクス生誕200年を迎えることとなり,マルクスへの知的関心が大いに高まると期待されるからです。「マルクス経済学を,現代における経済学(ポリティカル・エコノミー)のもろもろの流れの基幹的な部分として位置づける」(本学会ホームページ,「学会の特色」)本学会にとって,まことにこの上ない歴史的出番の到来に他なりません。

そこで,2016年度のテーマは,地球環境や移民・難民,民族・宗教とテロ・新しい戦争,そして新しい社会運動などの「グローバルな問題群」まで含めて,どこからでもアプローチできるように,広く「21世紀の世界とマルクス―『資本論』150年を迎えるにあたって―」と設定することといたしました。マルクス経済学を「基幹的な部分」としながらも,多様な知的枠組みを擁する「ポリティカル・エコノミーの総合学会」(本学会ホームページ,「学会の特色」)としての本学会が,マルクスへの知的関心の高まりを先取りすることによって,わたしたちの学問的存在理由をいかんなく発揮していく,その新たな一歩になることができればと考えています。

会員の皆様の積極的な参加を願ってやみません。